小さな町の物語
ある復讐1995年キリスト教会発行の雑誌ディプサに掲載された作品。
1981年論壇ひしろうで発表した「
ビルと五百円」の続編。
しばらく歩いてからタクシーを拾った。車のクッションに身を沈めて、鉄次は、あのむなくそ悪いホテルの野郎のあわてぶりをあれこれ想像した。あの部屋のドアのすき聞から臭気がもれ出て廊下を流れる。泊り客の誰かがそれに気付いてフロントに知らせる。その後のドタバタ。鉄次は大声で笑いだしたくなるのを押さえるのに苦労した。
(ホテルの野郎のくそったれめが。ざまあみやがれ、みやがれ)------臭気がもれて大騒ぎになる。
新聞記事にもなる。
そう見込んでの復讐劇にしては・・・生ぬるい。
原案の文章を読んだときは
もっと強烈でまさしく臭気の激しい内容だったが
「教会」という場への自主規制が働いたのか
それとも暗黙の検閲にかかり
やむなく変更を余儀なくされたのか?
原案の作品のほうが「復讐」として強烈であったことを
作家の身近にいたわたしは忘れない。